ギター シールド ケーブルの特性測定レポート


■はじめに■

 当測定結果はシールドケーブルの優劣を決定付けるものではなく、あくまでひとつの視点でみた測定結果です。
 測定方法は自分なりに考える理にかなった方法ですが、絶対に不備がないとも言い切れません。

 シールドご購入の際参考にされるかどうかは、あくまでご自身の判断でお願い申し上げます。

 当測定は「ジャックやプラグ、半田などは音色に影響を与えない。」ことを前提に行っております。これは私の持論ですが、、。

■測定内容■

 以下に説明する2種類の測定を行いました。ひとつはホワイトノイズを用いてスペクトルをとる方法、もうひとつは実際ギターの音を入力しその変化を聴いて比べる方法。
 どちらも興味深い結果が得られています。


■ホワイトノイズ+スペクトラムアナライザによる伝達特性の測定

測定システム その1 

Repair Garage では以下のシステムでシールドケーブルの周波数ごと伝達特性を測定しました。
 


使用するのはノートパソコン( 自分の場合は MAC BOOK MA700J/A ) オーディオインターフェース(M-BOX2 MINI)、それと右下のピックアップをくっつけた装置です。

WAVE GENELATOR は発振ソフト、はWAVE SPECTRA はいわゆるスペクトラムアナライザのソフトウェアです。どちらもWINDOWSで動作します。これは10年ぐらい前からある定番ソフトです。一時配信がなくなりましたが、なんとASIOドライバー対応までして復活してました。 自分はこれでよくオーディオ機器や、スピーカーなど周波数特性を測定します。企業が使うような測定器は安くても10万円以上するのでさすがに使えないですが、これで結構近い精度の測定が可能なんです。

測定方法ですが、まず、ピックアップに再現性のある信号を入力する必要があります。具体的にいうとエレキギターを毎回寸分たがわず同じ位置、同じ強さ、同じストロークで弾けばいいのですが、これはきっと世界最高峰のギタリストでもまず不可能です。そのため、この測定図の右下にあるピックアップをくっつけた装置で確実な入力信号を作り、測定します。

この装置は単純で ハムバッカーピックアップにマグネットをはずしたハムバッカーピックアップをホットボンドで軽く固定したものです。上に取り付けたコイル(ハムバッカーから磁石を抜いたもの)にPCのヘッドフォンアウトから信号入力し、それで磁界を作ります。その磁界をポールピースを通して下のハムバッカーに拾わせるという方法で出力を測定するというものです。ちなみにこの方法を応用すればピックアップコイルの特性も測ることができます。

まず、この測定で大切なのはすべての特性がフラットではないということを念頭におくことです。測定は、「シールドを接続しないときとの比較でどれだけ変わるか」という視点で行います。

まずはほぼ音色に影響がないと思われる、15cmのスピーカーカーブルで伝達特性を測定します。WAVE GENERATER (以下WGとします。)を用いてホワイトノイズ(全帯域に一様に発生するノイズ)を発生させ、これを上のコイルに入力し、下のハムバッカー出力を WAVE SPECTRA (以下WSとします。)を用いて周波数分析します。

↓ こちらが15cmスピーカーケーブル使用時の伝達特性です。

 

図は横軸が周波数、縦軸が出力レベルです。右に行けば行くほど高い周波数が高い、いわゆる高音になります。

ここで気をつけておきたいのはこの特性を作る外的要因をしっかり想定すること。お金をかけない測定にはこういう理解が必要です。

まず20kHz以降急に出力が落ちる部分はピックアップおよびシールドの特性とは一切関係ありません。ここは無視してください。おそらくヘッドフォンアウトの特性でしょう。ヒスノイズ、ハムノイズは少なくともこの測定に影響を与えるレベルでは発生していません。

3kHz周辺で共振するのはとりあえず "そういうもの" らしいですが、LCフィルタの共振と考えるか、、ひょっとしたらピックアップや信号入力用コイルの特性が複雑に入り組んでできあがるのかもしれません、、。ここは考察の余地あり、、です。

 

■ギター音の変化による測定

測定システム その2

PROTOOLS LEを用いて以下の測定を行います。 PROTOOLSはこんな使い方もできます。誰もやらないですが、、。Vin にはギターの全開放、レギュラーチューニングの"ジャラーン"というストローク音を5回ライン録音したものを使用します。これがこ測定回路を通したあとどのように変化するかを、実際録音し、耳で聞き比べる測定です。結果はサウンドファイルでアップしていますので比較してみてください。シールドを通すと結構変わりますよ。

ただし、この測定もあくまで "比較" で評価してください。録音した"ジャラーン"をこの方法で入力すると、コイルを使って磁界を起こすために、実際ギターで弾いた場合と同じ音にはなりません。ただこの方法でもシールドケーブルが音色にどれほどの影響を与えるかが十分評価できます。

以下が15cmスピーカーケーブルを通したときの音。つまりシールドケーブルの影響がないと過程した音です。この音を基準に、各シールドがどれほど影響を与えるものか、評価してください。

 ←m4aファイルです。ストリーミングまたはダウンロードして聴いてみてください。

ページの最後にすべてのリンクをまとめてありますので、すべてダウンロードしてiTuneなどで聴き比べるとわかりやすいです。

 

さてさてそれでは測定をはじめましょう。

■ PS-2300 キョーリツ 3m (参考販売価格¥1050)

とりあえず最初に測定したのは高級品ではないそこそこのケーブルです。 内部容量の影響で1.5kHzあたりで共振しそのまま落ちていきます。灰色はスピーカーケーブルでの特性です。

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■ YAMAHA エレドラのシールド 3m (参考販売価格¥?)

ギターを買うと無料でついてくるようないわゆる安シールドです。自分はエレドラのシールドで測定しました。線間容量の影響で1.4kHzあたりから減衰が始まります。そのサウンドの差は聴いても明らか。やはり安シールドなんですね、、。

ただしLC共振の影響か、ハイ落ちするシールドは1kHz以下での信号レベルが高いです。そう考えると音色は変わるものの悪いものではないのかもしれない、、、。

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■  VITAL AUDIO VAU3m (参考販売価格¥2550)

ちょっとだけ高いシールドケーブルです。OFC高純度銅を採用し網のように組まれたアースが外部からのノイズをシャットアウトします。こうしてみると音色は特に特色がないようです。

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■  MOGAMI 2524 3m (参考販売価格¥1260 Repair Garage)

アメリカではその中域キャラクターが個性的で人気のある、シールドケーブルです。写真は当店で販売しているシールドケーブルです。加工もしやすく、多くのかたが自作ケーブルやパッチ作成に使っています。特性は、少なくともこれを見る限りは普通ですね、、、。PS-2300とあまり変わらない気がします、、。

 

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■  MOGAMI 2524 12m

2524を15mで測定した結果です。長いシールドはやはりハイ落ちするのですね、、。これははっきり証明できました。

ただし1kHz以下の信号レベルがスピーカーケーブルよりも高い。LCフィルターの共振による影響と思いますが、音色こそ変わるものの音量は大きく感じます。このあたりの感覚はシングルコイルだとまた変わってくるかもしれません。

 

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■  CANARE GS-6 3m (参考販売価格¥1260 Repair Garage)

国産ケーブルの有名メーカー カナレ のケーブルです。写真はRepair Garageで販売しているケーブルです。

 

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■  CANARE GS-6 別の長さ

GS-6 15mでの測定結果です。やはり「長さ」は重要ですね。

5m

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7m

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12m

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■  MONSTER STUDO PRO 1000 (参考販売価格¥10230 )

でました、高級ケーブル、モンスターケーブルです。1万円以上するケーブルなのでさぞかし良い特性だろうと期待しましたが、意外に静電容量が大きくザックリハイ落ちするようです。ノイズをシャットアウトるため2芯シールドを採用しており、容量が大きくなっている、、と考えるべきでしょうか? 3.6mの長さにして CANARE GS6 7m とほぼ同じ結果ですから容量は倍くらいあるのでしょう。

 

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■  MONSTER PRO LINK ROCK 5m

プラグが別物ですが、測定には影響ないと考えます。

  

 ←現在準備中です。申し訳ありません。

 

■  ELIXIR 92110 (参考小売価格 6150円)

線間容量33pfの驚異的な数値を売りにするケーブルだけあって、その特性はまるで他のシールドとは別ものです。3mの長さにして、15cmのケーブルとほぼ変わりません。さすがです。

  

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■  BELDEN 8412 3m

切り売りしているシールドケーブルの代表格。2芯シールドなので少し太めです。線間容量190pFとスペックシートにあり、これはひどいハイ落ちがあるかと思えば実はさほどでもなく特性はほぼ同クラスのシールドと変わりませんでした。 L字型のほうをシールドとCOLDで接続しています。

  

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■  BELDEN 8412 5m

8412 5mの場合です。3mよりはハイ落ちします。

  

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■  BELDEN 8412 8m

8m購入し、5mと3mを作る前に、せっかくなので測定してみました。

 

 

 

■  BELDEN 9395 3m

2芯シールドの8412に対し、こちらは同軸タイプ。8412より若干ハイ落ちするようです。

  

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■  BELDEN 9395 5m

  

 ←測定システムその2による、サウンドサンプルはこちらをクリック

 

 

■  BELDEN 9395 8m

 

 

■  BELDEN 9778 5m

 ←測定システムその2による、サウンドサンプルはこちらをクリック

 

 

■  CLASSIC PRO GLC03R (参考価格 500円 サウンドハウス)

おそらく一番単価の安いシールドケーブルでしょうけど、その特性はなかなか。ELIXIRを除けばハイ落ちは一番少ないという結果がでています。ただし太すぎてとり回しが不便。

ケーブル自体が重くジャックへの負担にもなりそうで、あまりお勧めできないかもしれません。

  

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■  CLASSIC PRO GLC05R (参考価格 600円 サウンドハウス)

  

 ←測定システムその2による、サウンドサンプルはこちらをクリック

 

 

測定2の音色比較ようにすべてのリンクをまとめてみました。

 ■ 基準となる15cmのスピーカーケーブル

 ■ PS-2300 キョーリツ 3m (参考販売価格¥1050)

 ■ YAMAHA エレドラのシールド 3m (参考販売価格¥?)

 ■ VITAL AUDIO VAU3m (参考販売価格¥2550)

 ■ MOGAMI 2524 3m (参考販売価格¥1260 Repair Garage)

 ■ MOGAMI 2524 12m

 ■ CANARE GS-6 3m (参考販売価格¥1260 Repair Garage)

 ■ CANARE GS-6 別の長さ

5m  7m 12m

 ■ MONSTER STUDO PRO 1000 (参考販売価格¥10230 )

 ■ ELIXIR 92110 (参考小売価格 6150円)

■  BELDEN 8412

3m 5m

■  BELDEN 9395

3m 5m

■  BELDEN 9778

5m

■  CLASSIC PRO GLC

3m 5m

 

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。今後もサンプル入手次第データベースを拡大してまいります。

 

そして今 Repair Garage で開発中のあるものをギターに内蔵すればなんとこんな特性が実現できます。安シールドもエリクサーもまったく同じ音に!!ハイ落ちを極力抑えたフラットな特性に。それでいてローノイズに。

プロトはすでに私のギターRGT220Aに内蔵して動作確認中です。現在実装方法を検討中です。

 

■ YAMAHA エレドラのシールド 3m (参考販売価格 ほぼ無料?)

■ ELIXIR 92110 (参考小売価格 6150円)